機体検査とは、高高度飛行するパラグライダーの状態を検査することです。検査項目はキャノピー生地の空気透過率、サスペンションラインのライン長、各パネルの縫製状態などについてです。 この検査システムは、ヨーロッパでは以前より実施されており、最初ドイツで「2Year- Check」として、最初パイロットの義務として制度を発足させて定着し、現在も義務として機能しています。フランスにおいても年間3000機以上もの機体数が検査のために、パイロットが自主的に検査会社に依頼しています。車や飛行機に車検制度があるように、空を飛ぶパラグライダーにおいても、パイロットが安全チェックができる検査システムを構築し、安心してフライトできることは大変重要なことです。
検査することで、自分の使っているパラグライダーの安全性を数値で判断することができ、社会に対して安全普及に対する取り組みの良いアピールにもつながります。
Aランク : 50秒以上・・・良好な状態 |
Bランク : 30秒以上、50秒未満・・・1年ごとのチェックが必要 |
Cランク : 30秒未満・・・フライトに適さない |
キャノピーの空気透過率測定はまずもっとも傷みやすいセンターの上面、エアインテークから30cmほどのところを最初に測定します。JDCの測定器で限界値は大体30秒といわれますが、上面のこの部分だけが顕著に低い値を示すこともあります。基本的な考え方としては、上面の3箇所と下面の3箇所をセンターと両方の翼端を測定していきます。そして、もっとも悪い値のところがあれば、その値が評価の基準になります。
キャノピーの空気透過率の限界値は使用素材によって若干異なり、またキャノピーはさまざまな素材が用いられているために、新品の数値も異なります。ガルベノールでは800秒以上で、ポルシェマリンでは300秒程度といった具合です。基本はこの30秒が限界値です。そのため例えば見た目がかなり傷んでいるなというグライダーの場合、まずセンターの上面と下面を計測し、一方でも30秒未満ならこのグライダーは寿命と考えられます。その場合は点検を中止します。
ラインの長さ測定は専用のコンピューターシステムを使って測定します。
このシステムではワイヤーを引き出し、ラインには5kgのテンションをかけて長さを計測します。メーカーによっても異なりますが、Aラインのセンターから順番にすべてのラインを計測します。
たとえばNOVAのLMファイルシステムでは、ラインに5kgのテンションがかかるとランプが点灯、アラームが鳴り正しいテンションで計測していることを知らせます。各ラインの長さが基準値に対して許容範囲(例:15mm)の中に入っていれば記録されます。
許容範囲を超えていると、パソコン側に色で表示がでてもう一度計測しなおします。ラインの長さが合わないときは3回まで計測して、最も基準値に近いものが記録されます。
すべてのラインを計測し終わったら、パソコン側からデータをプリントしてチェックします。すべてのラインが基準値の許容範囲に入っていればよいのですが、実際の許容範囲は機体によって異なりますが10~20mm程度です。この段階で全体的にピッチアップ傾向などのずれが見つかった場合はラインストレッチなどの調整が必要です。
キャノピーの縫製の縫い目は、経年劣化によって広がっていたり、ほつれていたりする場合があります。各パネルの縫い目を、確認します。
ラインやライザーもやはり経年劣化や使用によって、各部が痛んでいます。ラインもツリーランなどによって、被覆が切れていたり、内部破断を起こしている場合があります。一つ一つを目視確認によってチェックします。
ライン長のバランスに変化がある場合には、ラピットリング側のノットを調整し、アングルを調整していきます。ただし、4cm以上のずれが発生してしまうと、ノットでの調整ができず、ライン交換の必要がある場合もございます。
ライン調整をした後には必ず立ち上げのテストを行います。
■完全検査(1~5) | \33,000 |
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1.キャノピーの空気透過率測定 | \6,600 |
2.ラインの長さ測定 | \11,000 |
3.4.縫製および全体の検査 | \11,000 |
5.機体の調整 | \11,000 |
■オーダーメイドのサスペンションライン | 実費 |
■サスペンションライン取り付け交換 | \27,500 |
■ブレークコード一対取り付け交換 | 実費 |
■テスト飛行 | \11,000 |
■送料、運賃 | \1,650 |
※全て税込み価格